「犬のボディランゲージ」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。吠えたり、遠吠えを真っ先に連想する方もいるでしょう。たしかにそれもジェスチャーの1つではありますが、その他にもすでに私達は多くを目にしています。
愛犬にカメラを向けると、殆どの犬が視線を反らす、もしくは、上の画像のように舌をぺろっと出します。これらは立派な犬の言語を表しています。
つまり、わたし達が読み解けないだけで、犬たちは立派に私達に話しかけています。
“それは何?ちょっと落ち着かないよ”
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表情から読み解くボディランゲージ
まずはじめにこの動画を犬の行動や表情に注目し観てください。
たった4分の動画の中に、犬同士の会話がこれでもかと盛り込まれています。
しつこくて空気の読めないロットワイラーに対し、一生懸命「もうちょっと落ち着いて!お願いだから!」という言葉(ボディーランゲージ)に気づけたでしょうか
では、さっそくそのボディランゲージを1つ1つ見ていきましょう。
目次
- 表情から読み解くボディランゲージ
- 目
- 耳
- 口元
- 舌
- 姿勢
- 尾
- 逆毛
- 仕草から読み解くボディランゲージ
- におい嗅ぎ
- 頭部を下げる「むむ?」
- 相手の犬に対し弧を描いて近づく「こんにちは。」
- お辞儀のような姿勢【プレイバウ】
- のろのろ歩く「イライラしてる?もしかして怒られるの?」
- 身体の向きを変える「もうちょっと落ち着いてくれないと遊ばない」
- 顔や目を反らす「敵意はありません。穏便にいきましょう。」
- 硬直する「苦痛。早くこの状況が過ぎないかな…」
- 逆に相手を硬直させ、においを嗅ぐ「ちゃんと嗅がせなさいよ!」
- 座る「怒ってるの?私、何かした?」
- スフィンクスのように伏せる「私に従いなさい」
- あくび「早く散歩行きたいよ」
- 間に割って入る【カットオフ】
- 前脚をあげる「わたし、子犬みたいでしょ?だから怒らないでね!」
- 相手の口元を舐める
- 最後に
- <3分表情チェック>
目
相手の犬に対し大きく開いている(凝視している)場合
- 警戒している
- 狙いを定めている
- 興奮している
- 集中している
※視線を反らすこと無く相手の犬と目を合わせ続けていたら注意。ケンカに発展する。
ゆるやかに目を開いている場合
- リラックスしている
- 穏やか
- 服従的
- 満足
白目が見えるほど見開いている場合
- 不安
- 心配
- 不快な気持ち
目を細め瞬きを繰り返す場合
- 犬同士の良いマナー
- 友好的であることを示している
耳
耳が付け根から前方に向けられている場合
- 警戒している
- 集中している
- 相手に対し強気を見せている
耳が付け根から後方に寝かされている場合
- 親和的な意思表示
- 飼い主に注意を払っている
- 穏やか
- 嬉しい
不安や恐怖から耳が寝かされている場合
- 同時に尾も股に入っている
- 強いストレスを感じている
- 緊張
- 不安
- 苦痛
口元
口が開いている場合
- 嬉しい
- 穏やか
- リラックス
- 走っている時
- 体温を下げる時
口が閉じている場合
- 警戒している
- 集中している
- 狙いを定めている
舌
舌をぺろっと出す
- 軽いストレス、心地悪さを落ち着かせようとしている。
相手の犬に近づく時に舌をぺろっと出す場合
- 敵意がないことを示している
姿勢
相手の犬に対し背中を丸める場合
- 敵意がないことを示す
- 不安
- 自信がない
尾
相手に対し尾がピンと上がっている場合
- 同時に耳も付け根から相手に向けられ、目も凝視していたら攻撃するつもりの意思表示
- これ以上近づくなという強い警告
相手の犬はいないが、尾がピンと上がっている場合
- 何かに集中している
尾が下がっている場合
- 謙虚
- 落ち着いている
相手の犬に対し、地面の匂いを嗅ぎながら近づき尾を下げている場合
- 敵意がないことを示している
尾が股の間に挟まっている場合
- 恐怖
- 苦痛
- 緊張
- 警戒
尾をふっている場合
- 親和的
- ごめんなさい!もうやめて!怒らないで!という降参の意志を示す
逆毛
- 気持ちが高揚している
- 警戒中
- 緊張している
仕草から読み解くボディランゲージ
におい嗅ぎ
いきなり地面の匂いをかぎだす場合
通常、嗅覚の優れている犬にとって地面の匂いを嗅ぐことはごく自然なこと。ですが、他の犬が近づいてきたりすると、突然、地面の匂いを嗅ぎ出すことがあります。この場合は、
- 軽度なストレスを感じている。
- 自分に対しても、相手に対しても不安な気持ちを落ち着かせようとしている。
飼い主の呼び戻しに対して、いきなり地面の匂いを嗅いで無視したり、地面の匂いを嗅ぎながら戻ってくる場合、呼び戻しのコマンドが強い命令口調のときには、不安を感じ、そうでなければ、軽度なストレスを感じていることを示しています。
頭部を下げる「むむ?」
- 警戒を表す
- 散歩中、向こうから近づく犬に気がついた犬は頭部を低く下げることがある。
相手の犬に対し弧を描いて近づく「こんにちは。」
- 犬社会の礼儀
犬たちは通常、弧を描きながら相手に近づくことを良い礼儀と認識しています。
逆に真正面から一直線で近づく行為は悪いマナー。散歩中に犬同士を挨拶させるとき、真正面からでなく軽く弧を描きながら近づくとよりスムーズに挨拶させることができる。
お辞儀のような姿勢【プレイバウ】
おしりを高く挙げ、上半身を低くするこのお辞儀のような仕草は、相手を遊びに誘うときのボディランゲージ。「遊ぼッ!」「追いかけっこしよう!」「敵意はないから安心して!」「仲良くしよう!」など、とても親和的に遊びに誘うボディランゲージです。
のろのろ歩く「イライラしてる?もしかして怒られるの?」
飼い主の呼び戻しのコマンドにイライラさを感じ取った犬がよくこの行動をとります。ゆっくり歩きながら、自分の不安を落ち着かせています。
身体の向きを変える「もうちょっと落ち着いてくれないと遊ばない」
犬同士の激しいワンプロレスに誘われた犬が身体の向きを変えて、「もう少し落ち着いてくれない?じゃないと遊ばない」という意思表示することがあります。これは相手を落ち着かせるボディランゲージの1つです。
これは人間も真似することが出来ます。仕事から帰宅後やハウスから出した際、飛びついてくる仔に対し背中を向けたり、身体の向きを変えることで、「その遊びには乗りません」と犬語で伝えることが出来ます。
顔や目を反らす「敵意はありません。穏便にいきましょう。」
- 相手に対し敵意がないことを示す行動
散歩中、向こうから犬がやって来ました。お互い気が付き、バチッと目が合います。ですが、どちらか一方がスっと顔を横に向けたり、目をそらすことができれば、相手は吠えたり飛びついたりすることはありません。
お互い共に直視し合っている時に、吠えたり、吠えられたりします。
硬直する「苦痛。早くこの状況が過ぎないかな…」
訓練中、飼い主からのコマンドに対し、一向に動かず頑なに固まって動かない犬や、他の犬から身体のにおいを嗅がれている時に硬直する犬がいます。早くこの状況から逃れたいという意思表示です。相手が立ち去ると身体を、ブルブルッ!と震わせ「あぁ!もう!苦痛だった!」を表します。
逆に相手を硬直させ、においを嗅ぐ「ちゃんと嗅がせなさいよ!」
- 強気な姿勢を示しています。
- 主張が強い性格
座る「怒ってるの?私、何かした?」
強い口調でコマンドを出すと、飼い主に背を向け座る行動を取る犬がいます。これも立派な意思表示。怒られるかもしれないという不安を感じています。
スフィンクスのように伏せる「私に従いなさい」
ドッグランなどで喧嘩や遊びがエスカレートしそうな場合に、特に落ち着いた、冷静な犬が取る行動です。堂々と伏せることで、相手を同じように従わせたり、やめさせたり、周りに自分の意思表示を堂々と行ないます。
あくび「早く散歩行きたいよ」
- 心の葛藤
興奮や、不安、心地悪さなど、相手もしくは自分を落ち着かせるためにあくびをします。犬を座らせ、首輪やリードをつけるときも、嬉しくてたまらない気持ちを一生懸命落ち着かせている犬はこのボディランゲージをよく示します。
間に割って入る【カットオフ】
- 「やめなさい」の意志を表す
犬社会で、ケンカが勃発しそうになると、第三者の犬がケンカの仲裁を行ないます。その時、犬同士の間に割って入り「ケンカはやめて!」と示します。
これは人間も真似が出来ます。散歩中に飛びかかり、吠えグセのある仔の場合、大抵が、座らせたり、伏せをさせていた場合でも、相手を直視しています。
さらに相手も直視している場合、一気にピークに達し、吠えたり、跳びかかってしまったり、もしくは、相手からケンカを挑まれます。
その直視(にらみ合い)を「やめなさい!」と、自分の愛犬の前に立ちはだかり、視界を遮ることで、中断を示す。
【顔や目をそらす=穏便にいきましょう。】と同じ効果も働き、吠えや飛びかかりを正すことができる。この時、リードは首輪近くをブレないようしっかり持ち、堂々と視界を遮ること。具体的に知りたい場合は▶散歩中、他の犬に吠える!飛び掛かる!その対処法は?
前脚をあげる「わたし、子犬みたいでしょ?だから怒らないでね!」
相手の犬に対し、威圧感を感じた仔がとりやすい行動で、自分を小さな子犬のように見せて、相手を怒らせないようにしている。
相手の口元を舐める
これも相手を怒らせないようにするため、子犬のように振舞っている行動です。
最後に
犬の言葉はとても早く、注意深く観察しなければ殆ど気がつけないでしょう。ですが、ワンちゃんは実にたくさんの【言葉】をわたし達飼い主に発してくれています。
ほんの少し学ぶことで、より充実した日々をドッグライフを送れるならば、学ぶ価値は十分にあります。
まずはじめに、一番わかり易い【舌をぺろっと出す】から、観察してみましょう。ドッグランへ赴いた際には、動画をとって見返すのも良い勉強になりますよ。
(↓過去の写真を見返したら、舌をぺろっと出している写真のなんと多いこと!)
<3分表情チェック>
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