感情に一切左右されることなく、冷静に物事を見通すことに長けたこの犬種の名をボルゾイという。今でこそ心優しい家庭犬として人気のある犬種として名を馳せているが、元来の役目は狼狩りである。血なまぐさい狩りの最中、人々を惹きつける優美さに王侯貴族をも魅了したこの種についてさっそくみていこう。
ボルゾイ当時価格で370万円
1892年、ある1匹のボルゾイに破格の値がつけられた。当時価格で約370万円。値をつけたのはイギリスのニューカッスル公爵夫人キャスリーンである。そして、そのボルゾイの所有者はロシア皇帝ニコライ二世ーー。
ニコライ二世の所有するボルゾイをキャスリーン伯爵夫人が購入、輸入したことが、イギリスにおけるボルゾイの爆発的人気の要因となる。
動画の中には1800年代のボルゾイの歩みを象徴する写真が数多く掲載されている。どの写真も華麗さを醸し出す写真ばかりである。
かつてはウルフハウンド(狼狩り)として
出典 YouTube
この種が王侯貴族に愛されたのはその美しさだけではない。まるで絹をまとったかのような容姿からは想像もつかないほどの俊敏さも持ち合わせているのだ。最高時速50km以上といわれる彼らの走りは犬のなかでもトップクラスの速さである。
“冷徹だが愛情深く、俊敏だが華麗である”
<落ち着ける場所ではのんびり屋の一面もみせるという。のんびり屋モードでは、テコでも動かないらしい…>
かつて群れで狩りを行なっていた習性もあり、ボルゾイの状況察知能力は突出ている。他の犬のボディーランゲージや、物事を冷静に判断する能力は非常に高く、そして、このことは彼らに強い自立心を形成させている。
後にブレースと呼ばれる、ペアを組んでの狩りスタイルとなるが、しかし、群れの習性はやはり色濃く残っており、誰かと群れたい、一緒にいたい、という願望も持ち合わせている。つまり、落ち着ける相手や家族に対しての心の許し方は寛大で、愛情はとても深いのだ。
時代を通し、人々を魅了し続けるボルゾイーー。
“冷徹だが愛情深く、俊敏だが穏やかで華麗である”
この言葉はまさに彼らにぴったりではないだろうか。