ドーベルマンのかかりやすい25の疾患
ドーベルマンには遺伝的要因により発症する可能性が高い疾患、
体形・体質ゆえにかかりやすい疾患があります。
ドーベルマンのかかりやすい主な25の疾患と
その一般的な初期症状と原因をまとめました。
これらの情報に目を通しておくことは、
万一の予防、早期発見に役立つはずです。
子犬を迎える際の基礎知識として、
また、毎日の健康チェック時などの参考としていただければ幸いです。
▼ドーベルマン以外の犬種はこちら▼
ケンブリッジ大学獣医学部、遺伝病データベース犬種別検索※パソコンからのアクセス推奨
■ドーベルマンはその見た目とは異なり、非常に繊細な体質の持ち主です。特に成長期2〜3歳までは頻繁に体調を崩しやすい傾向があります。そのため子犬を迎えたら早めにペット保険会社に加入しておくことをお勧めいたします。
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*目次*
毛包虫症(ニキビダニ症)
■初期症状:赤いブツブツの発疹、その部分の脱毛
■原因:毛穴に常駐するダニの異常増加、またはホルモン異常の兆候
脱毛症
■初期症状:円形の部分的脱毛、または、おしり〜陰部周辺、首元に左右対称の脱毛。
■原因:遺伝的要因が高く、ブルー/フォーンで発症率上昇
膿皮症
■初期症状:皮膚に小さな腫れ、膿を持つ発疹の発現
■原因:細菌が皮膚に感染し膿疱を形成
■予防・対策:抗膿皮症シャンプーを使用する
・抗膿皮症シャンプー・
皮膚組織球腫
■初期症状:薄いピンク色で半球型のしこりの発現 主に耳、首、頭、脚などに出来る。
■原因:未だ不明
■発症ピーク期:若齢
天疱瘡
■初期症状:水ぶくれ、水泡の発現 主に目周辺、口腔内、鼻、耳に出来る。
■原因:免疫細胞が自分の皮膚を非自己と認識し攻撃する。
脂漏症
■初期症状:皮脂によるベタつき増加、 または乾燥によるフケ増加。毛穴に黒い角栓がつまる。乾燥によるフケ増加=乾性脂漏症はドーベルマンに多く、シャンプー直後や次の日にすぐにフケが大量に出る場合、乾性脂漏症の可能性が高い。
■原因:遺伝的、感染、食べ物、嘔吐下痢による栄養不足、ホルモンバランスの乱れなどが考えられる
■食事改善で予防:ビタミンA、脂質、銅、亜鉛を補う。
- ビタミンA含有食品:にんじん、牛肉
- 銅含有食品:牛レバー、など
- 亜鉛含有食品:豚レバー、牛肉、ラム肉など
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脂漏症甲状腺機能低下症
■初期症状:元気が無くなり、散歩中に立ち止まり、運動をしたがらない、
皮脂によるベタつき増加、または乾燥によるフケ増加、左右対称性の脱毛、
脱毛部の色素沈着、外耳炎
■原因:体の代謝を活発にするホルモンが正常に生成・分泌されない
慢性肝炎
■初期症状:元気が無くなり、食欲不振、嘔吐、多飲多尿
■原因:銅関連性の慢性肝炎
脂肪腫
■初期症状:主に胸腹部、脇の下、内股の皮膚に脂肪の塊の発現。良性の腫瘍だが、時間が経つにつれ肥大化し手術が必要になる可能性がある。(悪性腫瘍と症状が似ているため自己判断せず必ず受診することが大切)
■原因:脂肪を作る細胞が腫瘍化したもの
骨肉腫
■初期症状:部分的な脚の腫れ・痛み、跛行(脚を引きずる)、 違和感のある歩行。
■原因:骨に含まれる組織が癌化。
■発症ピーク期:2~3歳、6歳。
拡張型心筋症
■初期症状:運動をしたがらない、疲れやすい。あまり元気が無い。
■原因:左心室拡張による心筋の収縮力低下
■発症ピーク:若齢期、成熟期(主にオス)
心房中隔欠損症
■症状:軽度の場合はっきりとした症状を示さない。重度になると、疲れやすい、皮膚や粘膜が青白くなる、意識がなくなるなど。
■予防:先天性遺伝病のため予防策はないが、フィラリア症に感染すると深刻化するため、普段からフィラリア症の予防は徹底的に行なうこと。
■原因:心臓の右心房と左心房を隔てる心房中隔に穴が開いた病気。
犬パルボウイルス感染症
■初期症状:目やに、鼻水、発熱、激しい嘔吐、下痢、血便、脱水症状
■原因:犬パルボウイルスの感染
■発症ピーク期:生後2ヶ月前後
緊急性の高い感染症だが、適正なワクチン接種により殆ど予防できる。
滑液嚢腫(肘腫:肘の水ぶくれ、ハイグローマ)
■初期症状:肘の後ろ辺りにブヨブヨした水ぶくれのような腫れ。
■原因:硬い床の上で同じ姿勢を繰り返す事で肘の関節にある袋に水が溜まる。
■発症ピーク期:1歳未満、または高齢
生活環境の改善で悪化を予防。柔らかなクッション、毛布などを床やハウスに敷き、肘の負担を可能な限り減らす。“寝ダコ“も出来やすい体質であるため、体の擦れ・摩擦がないようにハウスに厚めの毛布やクッションを敷くのはドーベルマンの飼育の基本と考えて良い。
資料:YouTube
線維腫
■初期症状:胴や脚などの体表、または体の中にシコリのようなもの(腫瘍)が発現。進行が進んだものを【線維肉腫】と呼び、これは悪性の腫瘍(癌)である。
体の中に発現する腫瘍は、発見が遅れる可能性がある。普段の食事や散歩などの様子、痩せた、太ったなど、“いつもと違う”と感じたら自己判断せずに獣医師に相談しよう。
脳腫瘍
■初期症状:違和感のある歩行、性格の変化、行動パターンの変化、
嗜好の変化、食事の飲み込みが困難
■発症ピーク期:高齢
“いつもと違う”と感じたら、獣医師に相談することが大切
第一次硝子体過形成遺残(PHPV)
■症状:瞳孔(ひとみの奥)が白い、眼球や黒目(角膜)が反対の眼より小さい、眼が揺れる、視線が合わない
■原因:眼球の中のゼリーのような硝子体という組織と、そこに含まれる血管が発達の途中でうまく消えずに残ってしまうことに起因する。
ウォブラー症候群
■初期症状:首の骨(頚椎)の痛み、首を低い位置のまま動かすのをためらう、後肢のふらつき、ぎこちない歩行の発現(肢の麻痺)
■原因:発症時期により異なる。
■①発症ピーク期:成長期(成長に伴う脊椎の形成異常による脊髄圧迫)
■②発症ピーク期:中〜高齢(骨以外の組織肥大による脊髄圧迫)
どちらも「ウォブラー症候群」と呼ばれているが、この2つは全く別物である。①については予防策として、成長期の適正な量の栄養と、過度な運動を控えることが一般的だとされている。
フォンヴィレブランド病(止血異常)
■初期症状:青あざが出来やすく、外傷時の過度な出血、血尿、血便、口腔内粘膜から出血、ヒート時の出血過多
■原因:1型フォン・ヴィレブランド因子の遺伝子の変異による遺伝性出血疾患(異常出血・止血困難)
ナルコレプシー(睡眠障害)
■症状:興奮や喜びなどの感情に伴い強烈な睡魔が襲う。姿勢を保つ筋肉が突発的に弛緩する。
■原因:脳内のオレキシン受容体に起こる変異と言われている
■発症ピーク:幼〜若齢
エピソーディック頭部振戦
■症状:水平または垂直方向の頭部の動き、継続時間と発生頻度が変化します。振戦とは、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こる不随意のリズミカルなふるえのこと。神経疾患の1つ。
<資料:YouTube>
胃拡張・胃捻転症候群
■初期症状:腹囲(胃)拡張、大量のよだれ、えづく、呼吸困難
■原因:水、食事(大量)摂取後、動きまわることで胃、腸の捻れ発症
非常に緊急性の高い症状
※手術が出来ない病院もあるため、掛かり付けの病院がこの手術を行えるか否かの確認は子犬を迎え入れたら必ず事前に行っておくこと。
予防策として、食後1~2時間は必ずハウス内などで安静にさせる、ドライフードは少し水でふやかして与える、一度に大量の食事、水を与えない、があげられる。
ドーベルマン舞踏病
■初期症状:両後肢の歩様異常
■原因:遺伝的要因が高い神経系疾患
家族性腎臓病
■初期症状:多飲多尿、食欲不振、嘔吐、体重減少。1つの家系に高頻度で発生する腎疾患。
■発症ピーク期:幼〜若齢。
ウール(ブランケット)サッキング(強迫性障害)
■症状:毛布、タオル、カーペットなどを吸ったり、自分の脇腹、腹部を吸い続ける。
■原因:主に遺伝的要因、早期の離乳、精神的・肉体的ストレス、食欲異常と考えられている。
※これは【内面的な病気】と言える。後に異嗜症(食べてはいけない物を食べる)に繋がる可能性が高い。誤飲をさせないために早めのうちに対処(スキンシップを多めに取る、運動時間の延長、タオルなどを取りやすい位置に置かないなど)しておく必要がある。一度誤飲したものは繰り返し飲み込む可能性が高くなる。
<資料:YouTube>
※(Oculocutaneous albinism/眼皮膚白皮症)
ホワイトドーベルマンのもつ先天性遺伝病。メラニン合成過程に関わる分子の異常によりメラニン合成が低下ないし消失。皮膚の色調は、一見して白皮症とわかる明らかに白い皮膚を持つ。
■症状:羞明、眼振があり、矯正不可能な視力障害など。
【2016/6/5追記】
ケンブリッジ大学獣医学部の最新遺伝病データベースをもとに、ドーベルマンが持つ遺伝病4疾患+ホワイトドーベルマンのみが発症する病気を追記致しました。
■エピソーディック頭部振戦■第一次硝子体過形成遺残(PHPV) ■心房中隔欠損症 ■ナルコレプシー ■ホワイトドーベルマンのみの疾患 の追記。
□肘の晴れ(ハイグローマ)に関する質問をよくいただくので、分かりやすいように資料動画を載せました。また、受診した方がよいか、という質問も頂くのですが、痛みや歩行に影響がないからと言って放置すれば肥大悪化の原因となります。必ず受診してください。
■ドーベルマンはその見た目とは異なり、非常に繊細な体質の持ち主です。特に成長期2〜3歳までは頻繁に体調を崩しやすい傾向があります。そのため子犬を迎えたら早めにペット保険会社に加入しておくことをお勧めいたします。
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